起業・新規事業で読むべき本7冊|診断士が「やる気→順序→お金」で選ぶ

起業・独立

先に結論を言います。起業の本は「やる気→順序→顧客→お金」の順で読む

起業や新規事業の本は山ほどあります。ただ、有名な順に上から読んでも、たいてい身につきません。僕が中小企業診断士として現場で大事にしている順序があります。市場の良し悪しより先に、まず経営者本人のやる気が本物かを確認する。どれだけ美味しい市場でも、本人に熱がなければ事業は立ち上がらないからです。

逆方向の証拠もあります。市場条件が悪くても——競合だらけのレッドオーシャンでも、斜陽業界でも——やる気が圧倒的な経営者は勝ち切ることがある。市場分析は、本人のエネルギーに火がついて初めて「成功確率を上げる要素」として機能する。順序を逆にすると、どんなに緻密な事業計画も動きません。この記事では、その順序にそって起業・新規事業の本を紹介します。

第1段階:やる気が本物かを確かめる

最初に読むべきは『起業は意志が10割』。守屋実さんの「やる気は必要条件」という言葉は、起業を「いつか」で止め続けている人ほど刺さるはずです。僕も相談を受けるとき、事業内容より先に「あなたはなぜ、これをやりたいのか」を必ず聞きます。ここで言葉に詰まる人の事業は、立ち上がってもどこかで失速することが多い。ひとりで始めるなら、『ひとりビジネスの教科書』の意思決定力の話も合わせて読むといい。

第2段階:才能ではなく「順序」で勝つ

やる気が確認できたら、『凡人の事業論』(小澤隆生)です。才能ではなく順序で勝つ方法を、楽天イーグルスの創業やYahoo!ショッピングの再生という現場から語る、説得力のある本です。

ただし、中小企業の経営者として読むなら、一つ重要な補正が要ります。本書の前提は楽天やヤフーという大企業のリソース——検証を何度も回せる資金、失敗を吸収できる事業規模、腹を割れる優秀な人材——です。この条件を中小企業がそのまま持ち込むと事故ります。僕が支援した生命保険代理店の多角化(運動関連事業)も、小規模事業者持続化補助金などで初期投資のリスクは下げられたのに、いまも売上が損益分岐点を行ったり来たりしています。設計図は外部の支援者でも描ける。ただ、市場に受け入れられるまで走り切る熱量は、リスクを背負う代表本人からしか出ないんです。本書は「小さく検証する」を勧めますが、中小企業はその検証回数すら限られる。だからこそ、最初の一手の精度がより重要になります。

第3段階:顧客の本音と、社会性を取り込む

アンケートを取っても提案が刺さらない、という壁にぶつかったら、顧客が言語化できないニーズの見つけ方を読んでください。顧客は「欲しいもの」を正確には言えない。言葉になっていないニーズをどう拾うかが、新規事業の勝負どころです。

社会性とビジネスを両立させたいなら『9割の社会問題はビジネスで解決できる』(田口一成)。「善意だけでは続かない」を正面から認めた上で、持続する仕組みに落とす視点をくれます。観光スポットやゆるキャラを作っても人口は増えない、という指摘は、地方で事業をする人ほど刺さるはずです。

第4段階:借りる前に、お金の設計を整える

勢いで資金調達に走る前に、『起業のファイナンス』で「不況時の堅さ」と借入の組み立てを押さえておくと、後で効いてきます。調達はゴールではなく、返し切るまでが事業です。

新規事業で診断士がよく見る3つの落とし穴

支援の現場で、繰り返し見てきた失敗パターンを3つ挙げます。

落とし穴1:やる気の確認を飛ばして、市場分析から入る。「市場が伸びているから」で始めた事業は、苦しくなった瞬間に止まります。燃料は市場ではなく本人の熱です。

落とし穴2:大企業の成功本を、そのまま中小企業で真似る。豊富な資金と人材を前提にした方法論を、リソースの限られた会社で実行すると事故ります。本は「translate(翻訳)」して使うものです。

落とし穴3:検証回数を確保せず、一発勝負にする。中小企業は失敗の体力が限られる。だからこそ、最初の一手を小さく区切り、撤退ラインを先に決めておく。「いくら使って結果が出なければやめる」を数字で決めてから始めてください。

明日の一手

事業計画書を開く前に、明日、紙に一文だけ書いてください。「自分はなぜ、この事業をやりたいのか」。きれいな言葉でなくていい。むしろ「悔しいから」「家族に証明したいから」のような生の動機ほど、苦しい局面で燃料になります。その一文が書けないなら、事業はいったん保留にして、まず動機を探すほうが正解かもしれません。

まとめ

起業の本は、ノウハウの量より読む順序です。やる気→順序→顧客→お金。さらに深く知りたい方は、起業・独立カテゴリと総合ハブの経営者が読むべきビジネス書ガイドへ。

えだもん (中小企業診断士)

中小企業診断士/連続起業家。21歳で起業、以来14年でビジネス書2,000冊超を読破。実務で効いた本だけを紹介する「課題突破の選書エージェント」運営者。

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