先に結論を言います。会社の数字は見ているのに、自分のお金は後回し
多くの社長に共通するのがこれです。会社の資金繰りは毎日見ているのに、自分自身の資産と人生の設計は何年も後回し。とくに中小企業の経営者は、会社の借入に連帯保証を入れていて、個人と会社のお金が地続きになっていることが多い。だからこそ、自分のお金を放置すると、会社の浮き沈みがそのまま個人の人生を揺らします。
この記事では、経営者「自身」のお金と向き合うための本を、角度を変えて紹介します。投資テクニックの本ではなく、お金との付き合い方そのものを整える本を選びました。社外CFOとして経営者の家計と事業の両方を見てきた立場から、賛同点と「中小企業経営者が読むときの注意点」をセットで書きます。
第1段階:お金の不安の「正体」を掴む
まずは古典の『金持ち父さん 貧乏父さん』を、経営者の現場から読み直してください。資産と負債の定義はやや極端ですが、「支出の構造を変える」という核は今でも使えます。給料(役員報酬)が増えても手元に残らない人は、稼ぎではなく支出の設計に問題があることが多い。
お金にまつわる判断のクセを知るなら『サイコロジー・オブ・マネー』。「裕福になる」より「裕福であり続ける」という視点は、決算判断にも直結します。業績がいい年ほど気が大きくなって固定費を増やし、翌年に苦しむ——この繰り返しから抜けるための心理学です。
第2段階:「使う」覚悟と、資産の測り方
貯めることばかり考えてしまう人には『DIE WITH ZERO』。「資産のピークは金額ではなく時期だ」という指摘は、走り続ける経営者ほど刺さるはずです。お金を残して死ぬことが目的化すると、人生の選択肢を自分で狭めてしまう。ただし連帯保証を抱える経営者は、本書の「使い切る」をそのまま実行すると危ない。守るべき現金と、使っていい現金を分けて読むのがコツです。
自分の立ち位置を正しく測るなら『THE WEALTH LADDER』。「帳簿上の資産」と「実質的に使える資産」の乖離に気づかせてくれます。決算書上は資産があっても、連帯保証や個人資産の拘束を引くと、実際に自由になるお金は驚くほど少ない、というのは現場でよく見る景色です。
第3段階:投資と借入の判断軸を持つ
「借金してでも投資すべきか」で迷うなら『JUST KEEP BUYING』が、条件つきの答えをくれます。事業で借入に慣れている経営者ほど、個人の投資でもレバレッジをかけたくなりますが、事業リスクと投資リスクを二重に背負う危うさは知っておくべきです。
そして原点として『バビロン大富豪の教え』を、賛同点と「現代への翻訳限界」をセットで読んでください。「収入の十分の一を貯めよ」という原則は普遍的ですが、インフレや事業投資という変数が抜けている。古典は、盲信せず、現代の前提で補正して使うのが正解です。
経営者の資産形成で見落とされがちな3点
個人向けの資産形成本には載っていない、経営者ならではの注意点を3つ。
1:連帯保証を資産から差し引いて考える。個人資産が3,000万円あっても、会社の借入5,000万円に連帯保証を入れていれば、実質の純資産はマイナスかもしれません。見かけの資産額に安心しないことです。
2:出口(事業承継・M&A)を資産形成に組み込む。多くの社長にとって最大の資産は「自社株」です。これをどう現金化するかまで設計して初めて、本当の資産形成になります。株価対策は何年もかかるので、早く考えるほど有利です。
3:個人と法人のお金の最適バランス。役員報酬を上げて個人に資産を寄せるか、内部留保で会社に残すか。税と社会保険、将来の使い道を踏まえた配分は、社外CFOと一度じっくり相談する価値のある論点です。
明日の一手
明日、紙を1枚用意して、「会社のお金」と「自分個人のお金」を2列に分けて書き出す。役員報酬、個人の貯蓄、個人で背負っている連帯保証や借入。多くの社長は、この2つが頭の中で混ざっています。分けて書くだけで、自分の資産形成が会社の業績に過度にぶら下がっていないか、もしものとき個人として何が残るかが見えてきます。
まとめ
経営者の資産形成は、テクニックより「自分のお金と人生をどうしたいか」の哲学が先です。さらに深く知りたい方はお金・資産形成カテゴリと総合ハブの経営者が読むべきビジネス書ガイドへ。

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