経営者の時間術・習慣が変わる本5冊|診断士が「減らす」視点で選ぶ

経営改善

先に結論を言います。経営者の時間術は「足す」より「減らす」

「毎日現場に出ないと気が済まない」と言い続けて10年、という建設業の社長がいました。売上は順調に伸びている。なのに利益が残らない。詳しく見ると、社長自身の時給換算コストが粗利を圧迫していたんです。社長が現場で1日動くコストを時給に直すと、利益のかなりの部分を社長の作業が食っていた。あなたが現場にいる時間こそが、会社の成長を止めていることがある。

時間術というと「効率化テクニックを足す」方向に行きがちですが、忙しすぎる経営者に本当に効くのは、やめる・減らすの判断です。予定を詰め込む技術より、予定を捨てる勇気のほうが、社長の時間には効く。この記事では、その視点で本を紹介します。

第1段階:まず「やめる」を決める

最初に読むべきは『減らす習慣』(中村一也)。足す発想ではなく、やめる・減らすで時間と意志力を取り戻す本です。とくに「やめる決断」の5つの判断基準は、日々のタスクだけでなく、赤字事業の撤退・縮小という重い決断にもそのまま使えます。経営者の意志力は有限で、細かい判断を減らすほど、大きな判断の質が上がります。

具体策として効果を実感しやすいのは会議を半分に減らす話です。会議を半減させるだけで生産性が1.5倍になった、という実例は誇張ではありません。多くの会議は、誰も必要だと思っていないのに惰性で続いている。まずここから手をつけると、効果がすぐ見えます。

第2段階:残った時間の「回転数」を上げる

減らして空いた時間で、何をするか。『超鬼速PDCA』は、速く回すより「回転回数」を増やすという核心が誤解されやすい本です。完璧な計画を立てて1回回すより、粗くても検証を何度も回すほうが前に進む。検証頻度を上げ、課題を因数分解して現場に落とすと、同じ時間でも進む量がまるで変わります。

第3段階:成果を出す人の「習慣」を借りる

AI分析でわかった『トップ5%社員の習慣』は、突出して成果を出す人の時間の使い方を、年商3億円までの会社に落とす手がかりになります。長く働く人ではなく、結果を出す人が何を「していないか」に注目すると学びが多い。

そもそも緊急業務に追われて戦略を立てる時間がない、という根本問題には経営者の時間戦略。緊急ではないが重要な仕事のために、1日3時間を先取りで確保する思考法です。戦略を考える時間は、空いたら取るものではなく、先に予約して死守するものです。

社長の時間が奪われる3つの構造

忙しさの正体は、たいていこの3つのどれかです。

構造1:全部の判断を自分が握っている。小さな判断まで社長に集まると、社長がボトルネックになります。判断基準を渡し、任せる範囲を決めるだけで、社長の時間は驚くほど空きます。

構造2:会議の惰性。「前からやっているから」だけで続く定例会議が、社長の午前中を食い潰している。目的を言えない会議は、廃止か時間半減の候補です。

構造3:緊急の奴隷になっている。緊急だが重要でない仕事に一日が溶け、緊急でないが重要な「戦略を考える時間」が永遠に来ない。だから戦略の時間は、空いたら取るのではなく、先にカレンダーで予約して死守するしかありません。

診断士が勧める読む順番

時間術の本は、足すより減らすの順で読みます。①まず『減らす習慣』と「会議を半分に減らす」で、やめる対象を1つ決めて実感する。②空いた時間ができたら、『超鬼速PDCA』で残った仕事の回転数を上げる。③最後に『トップ5%社員の習慣』と「経営者の時間戦略」で、成果を出す人の時間の使い方を取り入れる。新しい習慣を足すのは、いらない予定を減らした後。順番を逆にすると、ただ忙しさが増えるだけで終わります。

明日の一手

明日、来週のカレンダーを開いて、定例会議を1つだけ「廃止候補」に印をつける。そして出席者に「これ、なくして困りますか」と一度だけ聞いてみてください。多くの場合、誰も困りません。1つ消せたら、その空いた時間に「会社の3年後」を考える予定をその場で入れる。減らした時間を戦略に回す——これが、忙しさから抜ける最初の一歩です。

まとめ

時間術は、新しいテクニックを足すより、いまの予定を1つ減らすほうが速く効きます。さらに深く知りたい方は経営改善カテゴリと総合ハブの経営者が読むべきビジネス書ガイドへ。

えだもん (中小企業診断士)

中小企業診断士/連続起業家。21歳で起業、以来14年でビジネス書2,000冊超を読破。実務で効いた本だけを紹介する「課題突破の選書エージェント」運営者。

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