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『年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書』(和仁 達也)
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「また今月も新規案件を取りに行かないといけない」——そんなプレッシャーを毎月抱えていないだろうか。
コンサルタントや士業として独立したはずなのに、気づけば単発の仕事に追われる日々。一つの仕事が終われば次の営業、また次の営業。高い専門性を持っているのに、なぜか収入は安定せず、長期的な関係を築けているクライアントが少ない。そんな悩みを抱えているプロフェッショナルは、実は非常に多い。
私・えだもんは中小企業診断士として九州を中心に100社以上の経営者に伴走支援をしてきたが、支援先の経営者から「以前頼んでいたコンサルの先生は、仕事が終わったらぱったり連絡が来なくなった」という話を何度も聞いてきた。コンサル側は次の案件を探し、経営者側は「また一から信頼関係を築かなければ」と感じる。このすれ違いこそが、単発依存という負のサイクルの正体だ。
今回紹介する『年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書』(和仁 達也 著)は、この問題に真正面から向き合った一冊だ。著者の和仁達也氏は、資金繰りコンサルタントとして20年以上のキャリアを持ち、顧問契約を中心に年間報酬3,000万円超を10年以上継続している実践者。本書はその「仕組み」と「思考法」を余すことなく公開している。
単なるノウハウ本ではない。「なぜ高単価の長期契約が続くのか」という本質的な問いに答えてくれる、プロフェッショナルの教科書だ。
なぜ「単発依存」から抜け出せないのか——問題の根本を知る
📝 えだもんの現場視点
支援先の建設業の社長から「以前のコンサルの先生は補助金が採択されたら連絡が途絶えた」という話を聞いたとき、胸が痛かった。100社以上を見てきて感じるのは、経営者が本当に必要としているのは「単発の答え」ではなく「長期的に一緒に考えてくれる人」だということ。コンサルの役割は、答えを出すことではなく、経営者が自分で判断できる力をつける伴走にある。
コンサルタントの2つのビジネスモデル
本書の冒頭で和仁氏は、コンサルタントのビジネスモデルを大きく2つに分類している。
- プロジェクト型:課題解決の都度、契約を結ぶ単発モデル
- 顧問型:継続的な関係の中で価値を提供し続けるストックモデル
多くのコンサルタントや士業がプロジェクト型で稼ごうとするが、これには根本的な問題がある。収入が「フロー(流れ)」でしかなく、常に新規受注が必要になるのだ。川に例えると、バケツで水を汲み続けなければ水が尽きる状態。一方、顧問型は「ストック(蓄積)」であり、ダムのように水が自然と溜まり続ける構造を持つ。
和仁氏はこの違いを「稼ぎ方の設計図の違い」と表現する。多くのコンサルタントが疲弊するのは、能力の問題ではなく、ビジネスモデルの設計ミスによるものだと本書は指摘する。
「安く買い叩かれる」本当の理由
単発依存のコンサルタントに共通するのが、価格競争に巻き込まれやすいという問題だ。なぜか。それはクライアントが「成果への期待」より「作業への対価」として報酬を捉えているからだと本書は分析する。
「資料を作ってもらう」「補助金申請を代行してもらう」という認識のクライアントは、当然ながら相見積もりを取り、より安い業者を探す。しかし「この人でなければダメだ」という信頼関係が築かれていれば、価格ではなく価値で選ばれる。顧問型への移行は、単なる収入安定策ではなく、「作業者」から「パートナー」へのポジション転換でもあるのだ。
高単価顧問契約を生む「信頼構築の型」
パートナー型コンサルの3つの立ち位置
本書が提唱するのは、「答えを出してあげるコンサル」ではなく、「クライアント自身が答えを出せるよう伴走するコンサル」というスタンスだ。和仁氏はこれを「パートナー型コンサルタント」と呼ぶ。
パートナー型には、3つの重要な立ち位置がある。
- 翻訳者:難解な専門知識を、経営者が使える言葉に変換する
- 壁打ち相手:経営者が自分の思考を整理・深化させる場を提供する
- 意思決定の支援者:選択肢と判断軸を示し、最終的な決断を経営者に委ねる
この3つを意識することで、クライアントは「答えをもらう」のではなく「自分で考えられるようになった」という実感を持つ。この体験こそが、長期的な信頼の源泉になる。えだもんが伴走型CFOとして経営者と関わる際にも、この「翻訳者」としての役割は常に意識している。財務の数字を、経営者が日々の判断に使えるストーリーとして届けることが、信頼の第一歩だからだ。
「信頼の積み上げ方」には順序がある
和仁氏は本書の中で、信頼構築のプロセスを段階的に示している。クライアントとの関係は、最初から深い信頼があるわけではない。「知る→信じる→任せる」という3段階を経て、初めて高単価・長期契約への移行が自然に起こる。
この段階を無視して最初から高い顧問料を提示しても、クライアントには刺さらない。逆に言えば、この順序を丁寧に踏んでいけば、クライアントのほうから「ずっとお願いしたい」と言ってくる状況が生まれる。本書には、この各段階でどんなコミュニケーションを取り、どんな価値を提供すべきかが具体的に書かれている。
「お金の話」を武器にする——顧問契約を長続きさせる対話術
「お金のブロック」を外せるコンサルだけが生き残る
和仁氏が資金繰りコンサルタントとして特に力を入れているのが、経営者のお金に対する「心理的ブロック」を外すことだ。多くの中小企業の経営者は、お金の話を深く掘り下げることに抵抗感を持っている。「数字は税理士に任せている」「お金のことは考えたくない」——こうした心理が、経営判断を曇らせている。
コンサルタントがこの壁を突破できるかどうかは、信頼関係の深さによる。逆に言えば、お金の話をオープンに、かつ経営者が前向きになれるような形で対話できるコンサルは、それだけで「他の先生とは違う」という強い差別化になる。本書には、この「お金の対話」をどう設計するかのヒントが豊富に盛り込まれている。
「月次面談」を仕組みにする
顧問契約を継続させる上で、和仁氏が最も重視しているのが「月次面談の仕組み化」だ。毎月の面談を単なる報告会にするのではなく、経営者が「この時間があるから安心して前に進める」と感じるための設計が必要だという。
具体的には、面談の中で「今月起きたこと」「来月に向けた意思決定」「3ヶ月後のゴール」の3層を必ず扱う構成が推奨されている。この型があることで、コンサルタント側も準備がしやすく、クライアント側も「毎月の面談が楽しみ」という感覚を持てるようになる。月次面談が「義務」ではなく「価値ある時間」になったとき、顧問契約は自然と継続される。
報酬を「正当に」上げるための思考法
📝 えだもんの現場視点
資金繰りに苦しむ飲食業の社長を支援した際、最初の面談で「お金の話は税理士に任せている」と言われた。しかし3ヶ月かけて月次の数字を一緒に読み解く時間を重ねると、「自分の会社のお金の流れが初めてわかった気がする」と言っていただけた。お金の話をオープンに対話できる関係になった瞬間、信頼の深さがワンランク上がる。この体験が、本書の「お金のブロックを外す」という言葉と完全に重なった。
「高い」と言われないための価値の言語化
本書の中でも特に印象的なのが、報酬設定に関する考え方だ。和仁氏は「コンサルタントの報酬は、クライアントが得る成果の一部をいただくもの」というシンプルな原則を提示する。
たとえば、月次顧問料が月30万円だとして、クライアントの利益が年間500万円改善したとすれば、その投資対効果は明らかだ。しかし多くのコンサルタントは、この「価値の見せ方」が苦手で、「時間単価」や「業界相場」で価格を決めてしまう。時間ではなく成果で価値を語る——この思考の転換が、高単価契約への入口だ。
値上げを「感謝される」ための伝え方
長期契約が続く中で避けられないのが、報酬の見直し(値上げ)のタイミングだ。和仁氏はこのプロセスを丁寧に解説している。値上げが「感謝される」のは、それまでの関係の中でクライアントが十分に価値を実感している場合のみ。逆に言えば、顧問契約の期間中に「見えにくい価値」を継続的に見える化する習慣が、値上げ交渉の成否を決める。
えだもんが支援先の経営者と関わる中でも、「えだもんのおかげで助かった」という言葉をいただく瞬間は、必ずそれ以前に「なぜこの数字がこう動いたか」「この判断が3ヶ月後にどう影響するか」という地道な対話の積み重ねがある。価値の見える化は、報酬交渉の前提条件なのだ。
「10年続く」関係をつくるための長期視点
クライアントの「ステージ変化」に対応し続ける
10年という長期でクライアントと関係を続けるには、クライアント自身のビジネスステージの変化に対応する柔軟性が必要だ。本書では、創業期・成長期・安定期・承継期それぞれのフェーズで、経営者が何を必要としているかが丁寧に解説されている。
えだもんが専門とする事業承継や法人化の支援も、まさにこの「ステージ変化への対応」の一つ。創業期に資金繰りで支援したクライアントが、10年後に事業承継の相談に来てくれる——そのような長期的な関係こそが、コンサルタントにとっての最大の財産だ。和仁氏が言う「10年続く関係」は、決して夢物語ではなく、正しい設計と誠実な実践の積み重ねによって手に入るものだと、本書は証明している。
紹介が連鎖する「ファン経営者」のつくり方
長期顧問契約のもう一つの恩恵が、紹介の連鎖だ。信頼関係を長期で築いたクライアントは、自然と同じような課題を持つ経営者仲間にコンサルタントを紹介してくれる。本書ではこれを「ファン経営者」という言葉で表現し、紹介が起きやすい関係性の条件を整理している。
紹介が起きる関係とは、クライアントが「自分だけではなく、この人を紹介した相手にも喜んでほしい」と思えるほどの信頼が前提にある。つまり、紹介の連鎖は営業努力の結果ではなく、信頼の深さの証明なのだ。
えだもんが本書から受け取った最大のメッセージ
📝 えだもんの現場視点
伴走型CFOとして月次面談を続けている製造業の社長から、「他の士業の先生も紹介したい」と言われたとき、紹介が起きる関係の条件を改めて考えた。紹介してくれた理由を聞くと、「毎月の面談が経営の軸になっている」という言葉が返ってきた。報酬ではなく、毎月の時間そのものに価値を感じてもらえていたのだと気づいた。本書が言う「ファン経営者をつくる」とは、まさにこういうことだと実感している。
「稼ぐ構造」を先につくることの重要性
14年間で2,000冊以上のビジネス書を読んできた中で、本書は「プロフェッショナルの仕事設計書」として特に手元に置き続けたい一冊だ。理由はシンプルで、「稼ぎ方の構造」を先に設計することの重要性を、これほど明快に説いた本を他に知らないからだ。
多くのコンサルタントや士業は、スキルを磨くことに時間を使う。もちろんそれは大切だ。しかし、どれだけ高いスキルを持っていても、ビジネスモデルが「フロー依存」のままでは、収入の不安定さから逃れることはできない。本書が教えてくれるのは、スキルと並行して「ストック型の仕事の仕組み」を構築することの優先度の高さだ。
伴走型CFOとして実践していること
えだもんが伴走型CFOとして経営者に関わる際、本書の教えを意識しながら実践していることがある。それは、「毎月の面談を経営者にとっての羅針盤の時間にする」という設計だ。財務の数字を見るだけでなく、経営者が次の一手を自分で考えられるような問いを投げかけ、意思決定の質を高める場として月次面談を設計している。
この積み重ねが、「えだもんのことは長くお願いしたい」という言葉につながっていると感じている。本書を読んで、その感覚が理論として裏付けられた。コンサルタントや士業として独立を目指す人、あるいはすでに活動しているが単発依存から抜け出せていない人に、強くお薦めする一冊だ。
あなたの専門性は、もっと長く・もっと深く・もっと高く評価されていいはずだ。その「仕組み」をつくるために、ぜひ本書を手に取ってほしい。
明日の一手
本書を読んで終わりにしてはもったいない。今日から動けるアクションを3つのステップで整理した。まずは小さな一歩から始めよう。
- 自分の現在のビジネスモデルを「フロー型」と「ストック型」に分けてリスト化する。売上の何割が単発収入で、何割が継続収入かを数字で把握することが、顧問型への移行の出発点になる。
- 既存クライアントの中から「長期でお付き合いしたい」と感じる1社を選び、月次面談の提案ストーリーを書き出してみる。「毎月〇〇の時間を提供します」という具体的な価値の言語化を試みることで、顧問提案の型が少しずつできあがっていく。
- 毎月の面談後に「今月クライアントに提供した価値」を箇条書きで記録する習慣をつくる。この記録が蓄積されると、報酬の見直し(値上げ)交渉の際に「これだけの価値を届けてきた」という根拠として使えるようになり、自信を持って報酬を語れるプロフェッショナルに近づける。
この記事のまとめ(Q&A)
単発案件に追われるコンサルタントが高単価の長期契約を取るには?
課題解決のたびに契約するプロジェクト型から、継続的な関係の中で価値を届ける顧問型へ、稼ぎ方の設計を切り替えることが出発点です。『年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書』は、単発収入は常に新規受注が必要なフローで、顧問契約はダムのように溜まるストックだと整理しています。答えを出す人ではなく、経営者が自分で判断できるよう伴走するパートナー型の立ち位置を取ることも、長期契約につながる要点です。
顧問契約が長く続くコンサルタントは何をしているのか?
本書では、信頼を「知る→信じる→任せる」の順で積み上げ、月次面談を仕組みにすることが挙げられています。面談では「今月起きたこと」「来月に向けた意思決定」「3ヶ月後のゴール」の3層を扱う構成が推奨されています。面談が義務ではなく価値ある時間になると、顧問契約は自然に継続されます。経営者のお金に対する心理的ブロックを外し、お金の話をオープンに対話できることも差別化になります。
顧問料の値上げを感謝される形で伝えるには?
値上げが感謝されるのは、それまでの関係の中でクライアントが十分に価値を実感している場合です。そのため、契約期間中に見えにくい価値を継続的に見える化する習慣が欠かせません。毎月の面談後に、その月にクライアントへ提供した価値を箇条書きで記録しておくと、報酬の見直しの際に届けてきた価値の根拠として使えます。報酬は時間単価ではなく、クライアントが得る成果の一部として語ることが基本です。
この記事の根拠と執筆背景
執筆者について
枝元 宏隆(えだもん)。中小企業診断士。九州を中心に100社以上の中小企業経営者に伴走支援を実施。補助金・資金繰り・組織づくり・事業承継が専門領域。14年でビジネス書2,000冊超を読破し、選書メディア「本で解く」(hondetoku.jp)を運営。レフティ合同会社 代表。
執筆・更新日
執筆: 2026-06-16 / 最終更新: 2026-06-16

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