『億までの人 億からの人』要約|節税と物欲の壁を個人と会社の資産を減らさない判断に使う方法【動画つき】

お金・資産形成

投資の情報を集めても、資産形成の手応えがない。高い買い物や早期リタイアを考えると、判断の軸が分からなくなる。『億までの人 億からの人』は、その原因を情報不足よりも「判断の順番」に求めます。増やす前に出ていくお金を見て、買う前に目的との釣り合いを確かめる。富裕層が先に見ているものを整理した本です。

この記事は、本要約チャンネル「エダモン」で公開した要約動画(約20分)を、読んで確かめられる形に整理したものです。要点の表、家計と経営への置きかえ手順、この本が向く人・向かない人、動画の該当章へ飛べる時刻表を加えています。

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『億までの人 億からの人』(田中渓)
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『億までの人 億からの人』の要約を3行で

  1. 資産を増やす前に、節約より先に税金などの出ていくお金を把握します。
  2. 投資は少額から始め、利益よりも自分の判断と感情のデータを蓄えます。
  3. 買い物や制度は目的と条件を分解し、資産を減らさない順番で判断します。

動画で見る(約20分)

動画では、中小企業診断士・FPの枝元宏隆が、著者の田中渓さんが300人を超える資産家との交流から見いだした判断の順番を解説しています。全体の流れや語りのニュアンスは動画でつかみ、税、投資、買い物、FIREの要点を見直すときはこの記事をご利用ください。

時刻章この記事の該当見出し
1:34この本が最初に増やす前に出ていくお金を見る
4:13この本が増やす前に出ていくお金を見る
6:27この本でいちばん支払う金額と目的の価値を比べる
9:34同じ制度を条件を分解して判断の質を守る
13:14FIREという言葉の、FIREと減らさない判断の型
15:42最終章|この本が示した順番FIREと減らさない判断の型

どんな本か

300人を超える資産家を隣で見てきた著者

著者の田中渓さんは、ゴールドマン・サックスに17年在籍し、最終的に投資部門の日本共同統括を務めた方です。入社1年目にリーマンショックが起き、ボーナスはゼロ、大幅な減給、所属部署では9割の人員が削減されました。

その後、20か国以上、社内外300人を超える億円単位・兆円単位の資産家や、産油国の王族と交流してきました。この本に書かれているのは、本で集めた富裕層論ではありません。著者が仕事の現場で見てきた、お金、時間、習慣、人とのつながりに対する考え方です。

著者の出発点には、会社が明日終わるかもしれないという経験があります。そのため、中心にあるのは派手な成功法則よりも、危機のなかで資産を保つ人の判断です。節税、少額投資、買い物の目的、生活のリズム、FIREへの注意が、資産を減らさないための型としてつながっています。

増やす前に出ていくお金を見る

最初に取り組むのは節約より節税

本が最初に示す順番は、お金を増やす前に、出ていく無駄なお金を減らすことです。ここで著者が注目するのは節約ではなく、節税です。節約には我慢が伴います。節税は、適切な知識を身につけることで取り組めると説明します。

本は税率の差も挙げています。働いて得る所得にかかる所得税は最大45%で、住民税と合わせると55%。株式投資の利益は分離課税で20%です。不動産投資は個人なら総合課税ですが、長期の譲渡では税金がおよそ半分になったり、法人を使うことで30%弱に収まったりする。配当に対しては20%だと書かれています。

これらは、本が書いている水準です。税率や制度は変わり、利用できる仕組みも本人の状況によって異なります。個別の税務助言ではないため、実際に判断するときは専門家または公式情報で確認してください。

著者によれば、富裕層は納めるべき税金を納めることを当然としながら、税制に詳しい人が多くいます。増やす方法を探す前に、自分が税金や社会保険料をいくら払っているのかを見る。穴の空いたバケツに水を足し続けないための確認です。

投資は今すぐ少額から始める

次の順番は、投資を今すぐ、少額から始めることです。ゴルフクラブを初めて持った人が、すぐに思いどおりのラウンドをできないのは当然です。ただし、レッスン本を読み続けて、一度もラウンドに出なければ経験は得られません。語学も、十分に学んでから会話しようと待っているだけでは、実際に話す機会が訪れません。

投資を早く始める目的として、本は富裕層の思考へ意識を移し、行動様式を手に入れることを挙げます。お金が貯まってから始めるのではなく、お金を増やすために始める。この意識の違いを重視しています。

少額にする理由は、利益を小さくするためではなく、損失を抑えながら経験値を増やすためです。投資には勝ちも負けもあります。判断したときの感情や仮説を振り返り、失敗した理由と次の行動を考える。その経験が、後の判断材料になります。

テーマ先に見るもの本が示す考え方
資産形成出ていくお金増やし方を探す前に、税などの支払いを把握する
投資経験値今すぐ少額から動き、判断と感情を振り返る
買い物目的の本質的価値支払う金額が、得たい価値に見合うかを考える
制度条件の構造誰が何をどれだけの期間保証するかを分解する
FIRE収入と取り崩し運用益だけに頼る計画のリスクを見る

支払う金額と目的の価値を比べる

フェラーリを買う二つの理由

本には、大学生に金融リテラシーの話をしたときの事例が出てきます。その学生は、お金持ちになってフェラーリに乗りたいと話しました。金持ちのバッジにして、異性から注目されたいという理由です。

著者は、乗っている姿を見せることが目的なら、購入せずリースで十分だと指摘します。本によれば、エントリーモデルを残価設定型のローンで利用すると、月々およそ100万円で乗れる場合があります。条件によっては、300万円程度の国産車をローンで購入した場合の毎月の返済額と、大きく変わらない水準だと説明しています。

一方、富裕層が購入する理由として、本は二つの価値を挙げます。一つは資産価値です。フェラーリは生産台数が厳格に管理されているため、年月を経ても価値が落ちにくく、上がることもあるといいます。もう一つはオーナーズクラブです。普段は出会えない人とのつながりに、お金だけでは測れない価値を見いだします。

同じ車でも、見せるために乗る、資産として持つ、人とのつながりを得るという複数の目的があります。本が求めるのは、不動産でも車でも、そのものの価値を見極め、支払う金額が達成したい目的の本質的価値に見合うかを考えることです。

物欲の壁を越えた人の装い

著者が会った富裕層には、想像以上に質素な服装の人が多かったそうです。シンプルなシャツとパンツ、スニーカーで現れることも珍しくありません。本は、その背景を「物欲の壁」という言葉で説明します。

マズローの欲求の段階では、生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認欲求へと進みます。成功している人に見られたい、儲かっていることを自慢したいという承認への思いが、物欲につながります。富裕層の多くはこの壁を越え、物質的な所有の欲に支配されにくくなっていると著者は見ています。

高いものを買うこと自体が問題なのではありません。重要なのは、なぜ買うのかを自分で説明できることです。外から同じ買い物に見えても、目的が違えば、その人にとっての価値も変わります。

条件を分解して判断の質を守る

同じ制度を見ても行動に差がつく

金融リテラシーの差を示す例として、本は2012年に始まった太陽光発電の固定価格買取制度を取り上げます。再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が保証する仕組みでした。

本によれば、制度開始後の数年間の投資では、20年にわたって10%近い利回りで買い取りが保証される、極めて魅力的な条件でした。当時、20年ものの日本国債の利回りは1.5%強です。発電までこぎつければ、買い取りを保証するのは国であり、実質的に取るリスクは国債とほとんど同じだと説明します。

同じ制度を見ながら、多くの人は新しくて分からない、怪しいと考えて静観しました。一方、動いた人は、誰が買い取りを保証し、どの程度の期間と利回りが示されているかを分解しました。その結果、本では動いた人と、同じ時期に2%以下の国債を買った人との間に大きな差がついたとしています。

本も断っているとおり、この制度では環境や景観の問題が起きており、そこには向き合う必要があります。制度を無条件に評価する事例ではありません。現在も同じ条件が利用できるという話でもありません。

この例が示すのは、保留も一つの判断だということです。金融リテラシーとは、儲かる情報を見つける力だけを指しません。誰が、何を、どれほどの期間保証しているのか。他の選択肢と比べて条件はどうか。目の前の話を分解し、自分で結論を出す力です。

生活のリズムを変えずに判断を守る

著者は、多くの富裕層と同じように、1日のリズムを変えないと書いています。起床と就寝の時刻は、週末でも旅先でも変えません。平日は午前3時45分に起き、メールを確認して緊急の仕事に対応します。4時から運動し、6時に家族との時間とニュースの確認、8時に再び運動し、9時に出社します。

本が重視するのは、早起きそのものよりも、リズムを固定することです。その目的は意思決定を誤らないことにあります。判断材料を増やすだけでなく、判断する自分の状態を整えることも、お金を守る行動の一部です。

FIREと減らさない判断の型

経済的自立への賛成と早期リタイアへの懸念

本はFIREについて、賛成できる点を先に示します。金融リテラシーを高めようと努力すること、労働の切り売りから解放されて時間の自由を得ること、運用による経済的自立を目指すことには大いに賛成だと書いています。副業を続け、社会とのつながりを維持できている場合も肯定的に見ています。

そのうえで、運用収入だけを前提に仕事を辞めることのリスクを指摘します。本に掲載されたシミュレーションでは、年間100万円の収入が加わるパターンなら、突発的な支出があっても元本を減らさずに10年目を迎えられます。収入がゼロの前提では、同じようには進まないという結果です。

著者は、不労所得で楽に暮らしたいという夢を、少し歪んだ形で達成しようとしたものがFIREなのかもしれないと述べます。完全に働かなくなることだけを目標にせず、収入や社会とのつながりを残す考え方です。

本を貫くのは判断の順番

節税、少額投資、フェラーリ、太陽光発電、生活リズム、FIREは、一見すると別々の話です。しかし、共通しているのは、判断するときに先に見るものを変えることです。

増やす前に出ていくお金を見る。買う前に支出と目的の価値を比べる。投資の知識を完成させる前に、少額で動いて自分のデータを取る。制度を怪しいと片づける前に、条件を分解する。仕事を辞める前に、収入と時間の使い方を確かめる。どれにも秘密の情報は必要ありません。

順番は、知識と違って今日から真似できます。著者が危機の現場と300人を超える資産家との交流からまとめたのは、急いで増やすための技術より、資産を減らさないための判断の型だと読めます。

家計と経営の判断に置きかえる手順

ここから先は本に書かれている内容ではなく、FP・中小企業診断士としての置きかえです。本の判断の順番を、個人の家計や中小企業の支出に当てはめると、次のように進められます。

  1. 出ていくお金を一度だけ確認する:個人なら給与明細や源泉徴収票を開き、税金と社会保険料の合計を見ます。会社なら支出を並べ、何にいくら払っているかを把握します。減らす方法を考えるのは、そのあとです。
  2. 少額で自分の反応を測る:投資をする場合は、下がっても生活に影響しない少額から始めます。目的は利益の保証ではなく、値下がりしたときに平気でいられるか、眠れなくなるかという自分のデータを取ることです。
  3. 支出の目的を一言にする:高い買い物や設備投資をするときは、何を得たいのかを書きます。同じ1000万円の機械でも、生産能力が上がり回収できるなら投資です。新しいことだけが理由なら、消費として扱います。
  4. 条件を分解して比較する:制度や金融商品は、誰が、何を、どれだけの期間保証するのかを確認します。「よく分からない」で保留するときも、やらない判断をしていると意識し、後から検証できる形にします。
  5. 判断する時間と状態を決める:疲れているときや急いでいるときには、大きなお金の判断をしないようにします。営業を受けたその場で決めず、一定の状態で条件を見直します。
  6. FIRE後の収入と時間を先に考える:年4%などの平均利回りが、毎年同じように続く保証はありません。下がった年に資産を取り崩すと、元本の減少が計算より速くなる場合があります。小さな収入、社会とのつながり、辞めた後に向かう先まで含めて計画します。

最後の取り崩しと時間の考え方も、本に書かれている内容そのものではなく、FP・中小企業診断士としての補足です。平均利回りだけで結果を保証することはできません。実際の投資や制度の利用は、ご本人の資産、収入、支出、許容できる損失に合わせて確認してください。

読むときの注意点

  • 所得税45%、住民税と合わせた55%、株式投資や配当の20%などは、本が書いている水準です。現在の税率や適用条件を示す個別の税務助言ではありません。
  • 節税には、本人の働き方、所得、保有資産などによってできることに限りがあります。利用できる制度は専門家または公式情報で確認してください。
  • 太陽光発電の固定価格買取制度は、制度開始後の数年間について本が挙げた事例です。現在も20年、10%近い利回りが保証されるという意味ではありません。
  • フェラーリのリース料金や国産車の返済額は、条件によって変わります。数字だけを一般化せず、目的と支払いの関係を見るための事例として読む必要があります。
  • 少額投資は、利益や安全を保証する方法ではありません。勝ち負けを小さな金額で経験し、自分の判断と感情を知るための考え方です。
  • FIREのシミュレーションは、将来を保証するものではありません。運用結果、突発的な支出、収入の有無によって資産の残り方は変わります。

この本が向く人・向かない人

向く人向かない人
  • 投資情報を集める前に、資産形成の判断軸を整えたい人
  • 税や社会保険料を含む、出ていくお金を見直したい人
  • 高い買い物や設備投資を、目的と価値から判断したい人
  • FIRE後の収入や時間の使い方まで考えたい人
  • 具体的な銘柄や、すぐ使える投資案件を探している人
  • 現在の税制に沿った個別の節税方法だけを知りたい人
  • 短期間で利益を得る方法に絞って読みたい人

今日からできる3つ

  1. 給与明細か源泉徴収票を開き、税金と社会保険料の合計を一度確認します。
  2. 生活に影響しない少額を実際に動かし、下がったときの自分の反応を記録します。
  3. 次に高い買い物をするとき、何を得たいのかを一言にし、言えなければいったん保留します。

記事と動画で扱えたのは、本の中心にある判断の順番です。富裕層の時間の使い方、意思決定を誤らないための工夫、記録することの効果、人とのつながりの作り方、著者が現場で見た具体的な場面は十分に紹介できていません。自分の支出や投資と照らし合わせながら、手元で判断の型を確かめる価値がある一冊です。

▶ お金の名著を30分で。YouTube「エダモン|本要約チャンネル」

中小企業診断士・FPのエダモンが、お金の名著を原典に沿って要約し、日本の暮らしと会社のお金に置きかえて解説しています。どの回も1本で完結します。

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この記事のまとめ(Q&A)

『億までの人 億からの人』は、どのような本ですか。

田中渓さんが、ゴールドマン・サックスで17年間働き、300人を超える資産家と交流した経験をまとめた本です。富裕層だけが知る情報よりも、お金を判断するときに何を先に見るかを扱っています。

本が最初に勧めるのは節約ですか。

本が先に取り上げるのは節税です。増やし方を探す前に、自分が税金などをいくら払っているかを見るよう促します。ただし、税率や利用できる制度は本人の状況で異なるため、専門家または公式情報での確認が必要です。

なぜ投資を少額から始めるのですか。

初心者に必要な経験値を、損失を抑えながら得るためです。値下がりしたときの感情や、自分が立てた仮説を振り返ることが、次の判断材料になります。利益が保証されるという意味ではありません。

フェラーリの事例から何を学べますか。

支払う金額が、自分の達成したい目的の本質的価値に見合うかを考えることです。見せるために乗る、資産として持つ、人とのつながりを得るという目的では、同じ車でも価値が変わります。

本はFIREに反対していますか。

金融リテラシーを高め、時間の自由や経済的自立を目指す点には賛成しています。一方、収入をゼロにして運用益だけで暮らす計画にはリスクがあると指摘し、副業や社会とのつながりを残す考え方も示しています。

この記事の根拠と執筆背景

執筆者について

枝元 宏隆(えだもん)。中小企業診断士。九州を中心に100社以上の中小企業経営者に伴走支援を実施。補助金・資金繰り・組織づくり・事業承継が専門領域。14年でビジネス書2,000冊超を読破し、選書メディア「本で解く」(hondetoku.jp)を運営。レフティ合同会社 代表。

執筆・更新日

執筆: 2026-10-05 / 最終更新: 2026-10-05

えだもん (中小企業診断士)

中小企業診断士/連続起業家。21歳で起業、以来14年でビジネス書2,000冊超を読破。実務で効いた本だけを紹介する「課題突破の選書エージェント」運営者。

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