お金がなぜか貯まらない経営者へ——『漫画バビロン大富豪の教え』に学ぶ「収入の1/10」で資産を築く方法

お金・資産形成

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『漫画バビロン大富豪の教え』(ジョージ・S・クレイソン)
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「売上は伸びているのに、気づけば口座にお金が残っていない」——そんな経験、ありませんか?

中小企業の経営者や個人事業主の方から、私はこの悩みを何度となく聞いてきました。月商が増えても、なぜか手元に残らない。設備投資や人件費、税金に追われ、自分の資産形成どころではない。気づいたら50代になっていて、「老後、大丈夫だろうか」と焦り始める——そういったケースが、100社以上を伴走支援してきた私の肌感覚でも本当に多い。

そのとき、私が真っ先に手渡したくなる一冊が、今回紹介する『漫画バビロン大富豪の教え』です。

原著は1926年に書かれた古典中の古典。それが漫画化されたことで、圧倒的に読みやすくなりました。約100年読み継がれてきた「お金の真理」が、2〜3時間で頭に入る。経営者が忙しい合間に手に取るには、これ以上ない入口です。

なぜ「バビロン」の教えが、令和の経営者にも効くのか

📝 えだもんの現場視点

支援先の建設業の社長が、「今期は過去最高売上だった」とおっしゃりながら、決算書を見ると個人の金融資産がほぼゼロだったことがあります。事業への再投資と借入返済で全額使い切っていた。売上と手残りは別物。100社以上を見てきて、この「ズレ」に無自覚なまま経営を続けている方が、想像以上に多いと実感しています。

4,000年前の都市が舞台でも、悩みは同じだった

物語の舞台は、古代メソポタミアの繁栄都市バビロン。馬車職人のバンシル、音楽家のコービ、そして大富豪のアルカドが登場し、お金の哲学を語り合います。登場人物の職業や時代背景はまるで違うのに、彼らの悩みはどこか現代人と重なります。

  • 一生懸命働いているのに豊かになれない
  • 友人は裕福になっているのに、自分は変わらない
  • お金の知識がなく、増やし方がわからない

この「時代を超えた普遍性」こそが、本書が100年読み継がれてきた理由です。お金の本質は、AIが台頭しようと、インフレが進もうと、変わらない部分がある。それを漫画という形で体感できるのが本書の強みです。

漫画形式が「行動」を変える

同じ内容でも、文章で読むより漫画で読む方が、感情が動きやすい。主人公が悩み、気づき、変わっていく姿を「追体験」することで、知識が行動に結びつきやすくなります。経営者が本を読む理由は「知識の蓄積」だけでなく、「現場での判断と行動」のはず。その意味で、漫画版は合理的な選択肢です。

本書の核心「7つの黄金法則」——まず覚えるべき第一の法則

「収入の1/10を自分のために取っておけ」

本書で最も有名な教えが、この一言です。大富豪アルカドは言います。「財布に入れた10枚のコインのうち、使っていいのは9枚だけ。1枚は必ず自分のために残せ」と。

シンプルすぎて拍子抜けするかもしれません。しかしここに、多くの人が陥るお金の罠が隠れています。

私たちはどうしても「稼いだお金を使ってから残ったものを貯める」という発想になりがちです。でも現実は、使えば使うだけなくなる。残るはずのお金が、いつの間にか消えていく。

この法則が教えるのは、「先に貯める(Pay Yourself First)」という順序の逆転です。収入が入ったら、まず1/10を手をつけられない場所に移す。残った9/10で生活と事業を回す。この順番を変えるだけで、資産の積み上がり方は劇的に変わります。

経営者が陥りやすい「全部事業に突っ込む」罠

個人事業主や中小企業経営者にありがちなのが、「今は事業に再投資すべき時期だから、個人の貯蓄は後回し」という思考です。確かに事業投資は大切。でも「後回し」にした個人の資産形成が、10年後に経営者本人の首を絞めることになる。

バビロンの教えは、事業と個人財産を分けて考えることの重要性を示唆しています。経営者自身が「財務的に自立している」ことが、長期的に良い経営判断を下す土台になるのです。

7つの法則を経営視点で読み解く

第二〜第四の法則:貯めたお金を「働かせる」発想

本書には7つの黄金法則が登場します。第一法則「1/10を貯める」の次に来るのが、「貯めたお金を働かせる」という概念です。

  • 第二の法則:財布に貯まったお金に「働き口」を見つけよ
  • 第三の法則:黄金が増えるのを守れ(リスク管理)
  • 第四の法則:知識のない者に黄金を預けるな

これは現代語で言えば「投資リテラシー」と「リスク管理」の話です。ただお金を貯めるだけでなく、貯まったお金を適切な場所で増やす。ただし怪しい話に乗らず、自分が理解できる範囲で動く。

経営者として資金繰りに長けている人でも、「個人の資産運用」になると途端に知識が薄くなるケースは多い。本書の法則は、そこへの第一歩を踏み出す動機づけになります。

第五〜第七の法則:家と老後と「運」の正体

  • 第五の法則:家を持て(住む場所を確保する安心感)
  • 第六の法則:老後の収入を今から準備せよ
  • 第七の法則:自分の能力を高めることで稼ぐ力を増やせ

特に経営者にとって響くのが第七の法則です。スキルと知識に投資することが、最も確実なリターンをもたらすという考え方。これは「自己投資」の話であり、本を読む・セミナーに出る・専門家に学ぶというすべての行為が「黄金を増やす行動」に位置づけられます。

「運」は準備した人のところに来る

本書の後半で語られる「幸運の女神」の話も印象的です。チャンスが来たときに動ける準備ができている人だけが、幸運を掴める。準備のない人には、同じチャンスが来ても幸運に見えない——という教えです。

補助金の申請でも、事業承継のタイミングでも、融資のチャンスでも、「準備している人」が得をする構図は変わりません。財務の基盤を作るということは、チャンスに乗れる体制を整えることでもあります。

えだもんの現場視点:支援先で見てきた「お金が残らない経営者」の共通点

📝 えだもんの現場視点

「資産形成は落ち着いたらやります」という言葉を、私は支援先の経営者から何度聞いてきたかわかりません。ところが「落ち着いた」タイミングは、なかなか来ない。飲食業の40代オーナーが「あと10年早く始めていれば」と悔やむ姿を目の当たりにして以来、私は初回面談でかならず個人の資産状況を確認するようにしています。「後で」が最大のリスクです。

売上と手残りの「ズレ」に気づいていない

私が支援する経営者の多くは、「売上」は把握していても「自分の手残り」を明確に把握していないことがあります。事業の損益と、経営者個人の資産形成は別軸で管理する必要がある。バビロンの教えが示す「1/10を先に取る」は、この「別軸管理」の最もシンプルな実践形です。

「後でやろう」が一番危ない

資産形成において最も大きなコストは「時間の損失」です。複利の力は、早く始めた人ほど強く働く。50代から始めた場合と40代から始めた場合では、同じ積立額でも到達できる資産額に大きな差が生まれます。「今は事業優先」という判断が、長期的には大きな機会損失になっている現実を、私は何度も見てきました。

法人化・事業承継と個人資産形成はセットで考える

特に法人化や事業承継を検討している段階では、個人と法人の資産分離が重要になります。バビロンの教えが伝える「自分のための財布を守る」という発想は、法人オーナーが個人の財務計画を立てる際の根本的な姿勢と一致しています。

この本を「読んで終わり」にしないための活用法

読後すぐにできる「財布の仕組み化」

本書を読み終えたら、まず自分の収入構造を確認してください。毎月の手取りや役員報酬のうち、1/10に相当する金額はいくらか。それを自動的に別口座に移す仕組みを作れるか。

難しく考える必要はありません。銀行口座を一つ新しく開設し、給料日に自動振替を設定する。それだけでバビロンの第一法則は実践できます。

経営者が「投資の知識」を持つ意味

本書は投資の具体的な手法を教えてくれるわけではありません。しかしそれでいい。この本が与えてくれるのは「哲学」と「動機」です。具体的な手法——NISA、iDeCo、不動産、保険の活用——はその次のステップ。まず「1/10を自分のために確保する」という習慣と意識を持つことが先決です。

伴走支援でよく使う「三つの財布の整理」

私が経営者に伴走する際、お金の話では「三つの財布」を整理することを勧めています。

  1. 事業用の財布:売上・経費・法人税が動く場所
  2. 生活用の財布:役員報酬から日常生活費が出る場所
  3. 資産形成用の財布:手をつけない、増やすための場所

バビロンの教えは、この「③資産形成用の財布」を最優先で確保しろ、と言っています。事業が苦しくても、生活が厳しくても、③だけは死守する。それくらいの覚悟で取り組むことが、長期的な財務的自由への道です。

📝 えだもんの現場視点

法人化の相談で伺った際、個人と法人のお金が完全に混在しているケースに何度も遭遇しました。法人口座から生活費を出し、個人口座で事業費を払う。この状態では資産形成どころか、税務リスクも高い。バビロンの「自分の財布を守る」という教えは、法人オーナーにとって「個人・法人・資産形成」の三つを分けて管理する、財務規律の出発点と重なります。

『漫画バビロン大富豪の教え』は、お金の「哲学書」です。難しい投資理論もなく、複雑な計算式もない。あるのは、時代を超えて機能する「お金との向き合い方」だけ。

経営者として、毎日数字と格闘している方だからこそ、一度立ち止まってこの本を読んでほしいと思います。事業の数字を見る眼と、自分の資産形成の眼は別物です。この本はその「別の眼」を開いてくれます。

100年前のバビロンで語られた真理は、今日のあなたのオフィスでも、確実に使えます。

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明日の一手

知識は行動に変えてこそ意味を持ちます。今日から三つのステップで、バビロンの教えをあなたの現実に落とし込みましょう。

  1. 【今日中】自分の月次手取り(または役員報酬)を確認し、その1/10の金額を書き出す。「毎月◯万円を資産形成に使う」と数字で決めるだけでいい。決めることが第一歩。
  2. 【今週中】資産形成専用の銀行口座を1つ新規開設し、給料日・役員報酬振込日の翌日に自動振替を設定する。手動で移すと「今月は厳しいから来月に」が始まる。仕組みで強制的に「1/10を先取り」する体制を作る。
  3. 【1ヶ月後】先取りした資産形成口座に1ヶ月分が貯まったら、次のステップとしてNISAまたはiDeCoの口座開設を検討する。具体的な運用先を決めることで、「貯める」から「増やす」フェーズへ移行する。不安なら中小企業診断士やFPなど、信頼できる専門家に相談しながら進めよう。

この記事のまとめ(Q&A)

『漫画バビロン大富豪の教え』とは?

ジョージ・S・クレイソンが1926年に著した古典を漫画化した一冊です。古代バビロンを舞台に、馬車職人のバンシルや音楽家のコービが、大富豪アルカドからお金の哲学を学びます。約100年読み継がれてきた内容を、2〜3時間で読み通せる形にまとめています。忙しい経営者でも手に取りやすい入口になります。

お金が貯まらない経営者が最初にやるべきことは?

本書の第一法則である「収入の1/10を自分のために取っておく」を実践することです。稼いだお金を使ってから残りを貯めるのではなく、先に1/10を別の場所に移し、残りの9/10で生活と事業を回します。毎月の手取りや役員報酬の1/10の金額を決め、資産形成専用の口座へ給料日の翌日に自動振替を設定すると、仕組みとして続けやすくなります。

経営者が事業と個人の資産形成を分けて考えるには?

お金を「事業用」「生活用」「資産形成用」の三つの財布に分けて管理する方法があります。事業用は売上・経費・法人税が動く場所、生活用は役員報酬から生活費が出る場所、資産形成用は手をつけずに増やすための場所です。売上が伸びても手残りは別物なので、事業の損益とは別軸で個人の資産を確保します。法人化や事業承継を考える段階では、個人と法人の資産の分離が特に重要になります。

この記事の根拠と執筆背景

執筆者について

枝元 宏隆(えだもん)。中小企業診断士。九州を中心に100社以上の中小企業経営者に伴走支援を実施。補助金・資金繰り・組織づくり・事業承継が専門領域。14年でビジネス書2,000冊超を読破し、選書メディア「本で解く」(hondetoku.jp)を運営。レフティ合同会社 代表。

執筆・更新日

執筆: 2026-06-16 / 最終更新: 2026-06-16

えだもん (中小企業診断士)

中小企業診断士/連続起業家。21歳で起業、以来14年でビジネス書2,000冊超を読破。実務で効いた本だけを紹介する「課題突破の選書エージェント」運営者。

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