診断士が月額顧問契約を増やす3つの仕掛け|長尾一洋『年収1億稼ぐ方法』と現場の契約設計

キャリア・複業

なぜ月額顧問契約が診断士の生命線なのか

中小企業診断士の収入を安定させる最大の鍵は、月額顧問契約の数です。単発の補助金申請、スポットコンサル、講演——これらは大事な収入源ですが、毎月の固定収入にはなりません。

長尾一洋さんの『中小企業診断士になって「年収1億」稼ぐ方法』が強調するように、年収1,000万円以上を安定して稼ぐ診断士の共通点は、月額顧問契約を複数抱えていることです。月額20万円の顧問契約を5社抱えれば、それだけで月100万円・年1,200万円の固定収入が確保できる。

今日は、現役診断士として10社以上の月額顧問契約を維持している立場から、顧問契約を獲得し継続する3つの仕掛けを整理します。本書の原則と現場の運用を重ねて話します。

仕掛け1:単発案件に「継続提案」を必ず仕込む

月額顧問契約の8割は、単発案件の成功体験から生まれます。単発案件を受注した時点で、継続契約への誘導を始めるのが本書の鉄則です。

僕が実践している具体的な流れは次の通りです。

  1. 単発案件の最初の打ち合わせで、「この課題が解決した後の展開」を質問する
  2. 成果物の納品時に、「次の3ヶ月で一緒にやれること」を提案書にまとめる
  3. 単発案件の結果が出てから2週間以内に、顧問契約の提案を行う

重要なのは、単発案件の成功体験が鮮明なうちに継続提案することです。時間が経つと顧客の熱量は下がり、継続への動機が弱くなります。

仕掛け2:顧問契約の価値を「月1回訪問」だけにしない

月額顧問契約を維持する上で重要なのが、月1回の訪問以外の価値提供です。単に月1回話すだけでは、顧客が「この契約の価値は何か」と疑問を持ち始め、半年〜1年で解約されます。

僕が提供している顧問契約の中身は次の通りです。

  • 月1回の訪問面談(2〜3時間)
  • 週1回のオンライン面談(30分、任意)
  • LINEでの即時相談対応(営業時間内)
  • 四半期ごとの数値レビュー資料作成
  • 補助金・助成金の情報提供(対象案件があれば)
  • 他の顧問先との紹介機会(顧客間のマッチング)

この6つのサービスセットで、月額15〜30万円の価値が正当化されます。「月1回会うだけ」より、日常的な接点があることで、顧客は契約価値を実感します。

仕掛け3:長期契約を築くには「成果の可視化」が必須

顧問契約が2〜3年続くかどうかは、成果が数値で見えているかにかかっています。

多くの顧問契約が半年〜1年で終わる理由は、「お金を払っているが、何が変わったのか分からない」という顧客の疑問にあります。本書の指摘通り、診断士の側から成果を可視化する努力が必要です。

成果可視化の具体例

僕が顧問先に四半期ごとに提供している「成果レビュー資料」の項目です。

  • 売上・粗利率の推移(契約開始前からの比較)
  • 月次キャッシュフロー改善額
  • 実施した施策と、その結果の数値
  • 未達の施策と、その原因分析
  • 次の四半期の重点テーマ

この資料を3ヶ月に1度、Zoomで30分かけて顧客と共有します。顧客は「この顧問契約で○○万円のキャッシュフローが改善した」と数字で認識できる状態になる。これがあるかないかで、3年契約の継続率が劇的に変わります。

事例:福祉施設の顧問契約が「借換成功」から始まった話

具体事例を話します。2024年秋から顧問契約を継続している福祉施設の話です。37歳・2代目社長。

最初の接点は単発の資金繰り相談でした。国の借換一本化制度を使った1億弱の借換を提案し、銀行交渉に同席。月60万円のキャッシュフロー改善を実現しました。

この単発案件の成功後、僕は継続提案を行いました。「借換で生まれた月60万円を、今後どう活かすかが次の課題です。月額15万円の顧問契約で、半年ごとに財務戦略の見直しを続けましょう」という提案。

成果可視化の提案と、LINE相談の即応性が決め手となり、月額顧問契約が成立しました。現在1年以上継続しており、契約継続率という点では診断士の理想形に近い事例です。

この事例で重要なのは、単発案件の成功体験が鮮明なうちに継続提案したこと、そして顧問契約の価値を複数のサービスで構築したことです。本書の原則と現場の運用が重なる典型例でした。

顧問契約の単価設定

顧問契約の単価は、業界相場で月額10〜30万円と言われます。僕の設定は次の通り。

  • 従業員5〜10名の小規模会社:月額10〜15万円
  • 従業員11〜30名:月額15〜25万円
  • 従業員30名以上:月額25〜40万円

本書が推奨する「最初から適正単価」の原則に従い、値下げはせず、代わりにサービスのスコープを調整します。安く受けるくらいなら受けない、という姿勢を貫くことが、長期的には経営を安定させます。

本書の限界:顧問契約の「終わり方」に触れない

本書は顧問契約の獲得・維持に詳しい反面、契約終了のハンドリングに触れていません。

実は診断士として重要なのが、「この顧客は次のフェーズに進んだので、顧問契約を卒業してもらう」という判断です。成長した顧問先を惰性で抱え続けると、新しい顧客を迎え入れる余力がなくなります。

僕の場合、顧問先が自走できる状態になったら、月額顧問から四半期レビュー契約(年1〜2回)に切り替える提案をします。顧客側の負担も軽くなり、関係は継続。この「卒業設計」が、健全な顧問ポートフォリオを作る鍵です。

明日の一手:現在の顧客の「単発→顧問化」余地をリストアップ

ここまで読んでくれた診断士に、明日できる一歩を提案します。

明日、30分だけ時間を取って、次を紙に書き出してください。

  1. 過去6ヶ月に受注した単発案件の顧客リスト
  2. そのうち、顧問契約に移行できそうな顧客を3社選ぶ
  3. 各社に対する「継続提案の切り口」を1つずつ書く

3社分の継続提案を準備するだけで、今後1〜2ヶ月の営業活動の方向性が明確になります。本書を読むのは、この30分の作業の後で十分です。読後の戦略がそのまま行動に繋がります。

この記事の根拠と執筆背景

主要な参考書籍

本記事は長尾一洋 著『中小企業診断士になって「年収1億」稼ぐ方法』の顧問契約獲得戦略を、現役診断士として10社以上の顧問契約を維持する立場から検証しました。

引用した支援事例について

  • 事例: 福祉施設(37歳2代目社長)における2024年秋〜現在の支援経験に基づきます。単発の借換支援から月額顧問契約への移行に成功。社名・個人名は匿名化しています。

執筆日・最終更新日

執筆: 2026-04-20 / 最終更新: 2026-04-20

著者について

枝元 宏隆(えだもん)。中小企業診断士、複数法人経営者。九州中心に資金繰り改善・事業承継・補助金活用の伴走支援を実施。

えだもん (中小企業診断士)

中小企業診断士/連続起業家。21歳で起業、以来14年でビジネス書2,000冊超を読破。実務で効いた本だけを紹介する「課題突破の選書エージェント」運営者。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP
CLOSE